ぼんやりすることが創造力を上げるという記事を見て、私は半信半疑でした。脳科学の話がつくと、何でももっともらしくなりますから。だから自分で調べました。確認されたことは思ったよりささやかで、だからむしろ、信じられたのです。
研究が確認したのは、三つほどです。何もしない短い休みのあとに集中が戻ること、行き詰まった問題の答えが浮かびやすくなること、その日経験したことが整理されること。創造力が上がるとか、頭が良くなるという話は誇張です。心配ごとの多い時期は、ぼんやりが心配の繰り返しになることもあるので、決めた時間のなかで、目を置く対象を決めてやるのが安全です。
ぼんやりすること自体を実験した研究は、多くありません。代わりに、何もしない休み、注意を放しておく状態、課題のあいだの休憩を扱った研究があり、その結果がぼんやりに移されて語られます。確認されたことと、そうでないことを分けるとこうです。
| 主張 | 研究の結果 | どこまで信じるか |
|---|---|---|
| 休むと集中が戻る | 複数の実験で繰り返し確認 | 信じられる |
| 行き詰まった問題の答えが浮かぶ | 簡単な別のことをして休んだあと、答えをよく見つけた実験がある | 条件が合えばありうる |
| 経験が記憶として整理される | 休んでいるあいだ、記憶に関わる活動が観察された | 可能性は高い。人を対象にした研究は進行中 |
| 創造力が全般に上がる | 短期の課題成績が一部向上、長期の効果は未確認 | 誇張 |
| 頭が良くなる | 根拠なし | 誇張 |
一つ目がいちばん頼もしい。集中は使えばすり減り、何もしなければ戻ります。スマホを見るのは何もしないことではないので、戻りません。私が昼休みにスマホを見た午後と、窓の外を見た午後が違った理由は、ここにありました。
有名な実験があります。参加者に難しい問題を解かせて途中で止め、ひとつの群には簡単な別のことをさせ、もうひとつの群にはそのまま握らせました。問題に戻ったとき、簡単な別のことをした群の方が、答えをよく見つけたのです。注意をゆるく放っておくあいだ、頭が問題を別のやり方で転がすという解釈です。
ただし条件があります。問題を先に十分つかんでいたこと、休むあいだにすることが簡単なこと。まったく考えていない問題は休んでも答えが出ず、休むあいだに難しいことをすると効果が消えます。スマホは簡単そうに見えて、頭をかなり使うのです。
心配の多い時期にぼんやりすると、頭のなかの整理が、同じ心配を繰り返す方へ流れます。研究でも、うつや不安の高い人は、考えのさまよう時間が気分をさらに沈ませる場合が報告されています。私も、子どもが体調を崩した週は、ぼんやりが休みではなく心配する時間になりました。
そういうときは、二つが助けになりました。水や木のように目をつかまえてくれる対象を置くこと、そして時間を10分と決めておくこと。終わりがあれば、心配にも終わりが来ます。
ぼんやりの効果は体がゆっくり教えてくれますが、Sumbiの海は潜水ひとつごとに変わります。窓の外を見る10分のあいだ潜水を掛けておいてスマホを伏せれば、終えたあと貝がひとつ開いて、海の生きものが私の海に入ってきます。休んだ時間が生きものひとつとして残るので、休めたのかどうか、迷わなくなります。
私の海をつくる →ぼんやりに効果があったかは、その時間ではなく、その次の30分が教えてくれます。集中が戻ったか、先送りしていた仕事に手が伸びたか。私は昼食後、10分窓の外を見た日とスマホを見た日の、午後の最初の仕事を比べたのですが、窓の外の側が、始まりが早かった。
気分は日によって違うので、基準になりにくい。肩が下りているか、息が長くなったかといった体の合図の方が正直です。ぼんやりがうまくいった日は、終わってからあくびが出たり、肩が下りていました。
一日やって効果がないと結論を出すには、条件が多すぎます。同じ時間、同じ席で一週間ほどやってみて、午後が変わったか見てください。変わったものがなければ時間を減らすか対象を変えればよく、それでもなければ、別の休みが合う人なのかもしれません。
創造力が爆発したり、人生が変わったりはしません。集中が少し戻り、午後が少し軽くなり、ときどき行き詰まりがほどける程度です。それだけで10分の値打ちには十分だと、私は思います。スマホの10分は、それだけもくれませんでしたから。
手放した日の一行。効果を疑いながら始めたのに、疑ったぶんだけ期待したら、毎日できました。大きな約束より、小さな確認が長く続きます。
この記事は一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。睡眠や日常生活への支障が続く場合は、専門家にご相談ください。