たんすの上に、編み物のかごが4年ほどありました。時間がないからだと言っていたのに、スマホの使用時間を確かめたら、一日3時間がありました。時間がなかったのではなく、時間が別の場所へ流れていたのです。それを認めるのに、いちばん長く掛かりました。
趣味が止まった理由は、たいてい時間ではなく始まりの敷居です。道具を出し、どこまでやったか思い出し、うまくいかないことに耐える敷居。一日10分だけやると決めて、道具を目に見える場所に出しておけば、その敷居が低くなります。うまくやろうという心を手放して、10分が終わったら、やりたくても止めるのが続けるコツです。
時間がなくてと答えるのは簡単ですが、私はそうではありませんでした。スマホの使用時間を確かめてみたら、一日3時間があったのです。趣味が止まった本当の理由は、三つでした。
三つともスマホが勝ちます。つまり意志の問題ではなく、敷居の問題です。敷居を下げれば、スマホと張り合えます。
一日10分だけやると決めると、三つの敷居がいっぺんに下がります。10分は始めるのに負担がなく、10分のなかではうまくやろうとする必要がなく、毎日10分なら、報酬が遅くても毎日少しずつ見えるのです。
| ルール | 理由 | 私の場合 |
|---|---|---|
| 一日10分、それ以上はやらなくていい | 負担がなくてこそ毎日始める | 子どもを寝かせて引き出しにスマホを入れたあとの10分 |
| 10分が終わったら、やりたくても止める | 翌日やりたい気持ちが残る | 最初の2週間は本当に止めた |
| 結果を見ない | うまくやろうという心が始まりを止める | 目の数を数えず、ただ編む |
| できなかった日は、そのまま流す | 一日抜けたことは失敗ではない | 週5日なら、よくやった週 |
二つ目のルールがいちばん大事です。おもしろくて1時間やると翌日の負担になり、負担になるとやりません。10分で止めると物足りなさが残り、その物足りなさが翌日を始めさせるのです。
たんすの上はだめです。出すのに掛かる動作のひとつひとつが敷居です。ソファの横、食卓の端、ベッドの枕元のように、座る場所から手の届くところに置いてください。私は編み物のかごをソファの横に、スマホをリビングの引き出しに置きました。手の届く場所にあるものが変わったら、手の行く場所も変わったのです。
趣味がスマホの要るもの、たとえば動画を見ながら学ぶ楽器なら、その時間は必要な画面だけつけて他のアプリは開かないルールを別に置くのがいい。学ぼうとつけたスマホが、30分後にショート動画になっていることが多いですから。
Sumbiの潜水は10分から始められます。編み物でもギターでも、趣味の10分を始めるとき潜水を掛けておいてスマホを引き出しに入れれば、その10分のあいだ、他のアプリを開いたぶんだけ息つぎが減ります。趣味が終わって潜水を終えれば貝がひとつ開き、毎日の10分が、海の生きものひとつずつとして残ります。
はじめての10分潜水 →4年前の私は目をそろえて編んでいたのに、いまはでこぼこです。それを見るとやめたくなります。最初の2週間は、結果を見ないことにしました。編んだものをほどいてもいいし、不格好でもいい。手が記憶を取り戻すのに2週間掛かり、そのあとは結果を見ても大丈夫でした。
大きなプロジェクトで始めると、終わりが見えなくて止まります。小さなもの、終わらせなくていいものからやってください。私はマフラーではなく、鍋敷きから始めました。二日にひとつ終わるので、報酬が早かった。子どもがそれを使うのを見るのが、報酬でした。
また始めた趣味をSNSに上げると、うまくやろうという心が戻ってきます。誰が見るか気になり、反応がないとしぼんでいく。最初のひと月は、誰にも見せないでください。趣味は人に見せるものではなく、手が休む時間です。
残業や子どもの体調の悪い日は、10分もありません。そういう日は抜ければいい。大事なのは、その翌日にまた10分やることです。二日抜けると敷居がまた上がるので、一日は大丈夫、二日目は5分でもつかむのがコツです。
手放した日の一行。4年間、時間がないと言っていたのに、スマホの引き出しができたら時間ができました。趣味には時間ではなく、場所が必要だったのです。
この記事は一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。睡眠や日常生活への支障が続く場合は、専門家にご相談ください。