電源を切ったスマホがそばにあるだけで頭が悪くなる、という記事を見て驚きました。ところが元の研究を探して読んでみると、記事よりずっと慎重なことを言っていたのです。何を見つけて、何を見つけていないのか、分けて整理します。
電源を切ったスマホが机の上にあるだけで、集中が必要な課題の成績が低かったという研究はあります。ただしその効果はスマホに強く依存する人ではっきりしていて、後続の研究では効果が小さいか、現れなかった場合もありました。だから確かに言えるのは、スマホが見えると注意の一部がそこへ行く、というところまでで、頭が悪くなるとか、誰にでも同じだというのは、研究が言っていない部分です。当てはめ方は単純です。集中すべきときは、スマホを見えない場所に置きます。
参加者数百人に集中が必要な課題を解かせながら、スマホを三つの場所に置かせました。机の上、ポケットかかばん、別の部屋。スマホはすべてマナーモードで、誰も使いませんでした。結果は、別の部屋に置いた人がいちばん高く、机の上がいちばん低かった。参加者はスマホのことを考えたかという質問に、いいえと答えたのにそうだったのです。研究チームは、スマホが近くにあるとそれを無視することに注意の一部が使われる、と解釈し、この効果はスマホへの依存が強いと答えた人でより大きかったと報告しました。
| 区分 | 研究が言ったこと | よく膨らまされる言い方 |
|---|---|---|
| 効果 | 集中課題の成績がスマホの位置で違った | スマホがあると頭が悪くなる |
| 対象 | スマホ依存度の高い人ではっきり | 誰にでも同じ |
| 大きさ | 統計的に有意だが大きくない | 知能が何点も下がる |
| 追試 | 後続研究では効果が小さいか、ないことも | 確定した事実 |
同じ方式でやり直してみた研究があります。ある研究は似た結果を得て、ある研究は効果が小さいか、統計的に意味のある差を見つけられませんでした。これは元の研究が間違っていたという意味ではなく、効果が状況と人によって違い、大きさも大きくない、という意味に近いのです。心理学ではよくあることで、だからひとつの研究で結論を出しません。
整理するとこうです。スマホが見えると注意の一部がそこへ行く、というのは複数の研究で方向が一致しています。その効果がどれほど大きく、誰に起きるのかは、まだ整理の途中です。私のようにスマホへの依存が強い人には、大きい可能性が高そうです。
私は自分で試しました。同じ仕事を、スマホが机の上にあるときと別の部屋にあるときにやったのですが、時間は似ていても、別の部屋にあるときは読み返す回数が確かに少なかった。研究は慎重に語りますが、私の机では差がありました。
研究が慎重だからといって、やることが変わるわけではありません。効果が大きくても小さくても、スマホをどかすのにコストは掛からないからです。逆に、効果がないという研究を根拠にスマホを机の上に置くのは、得がありません。研究はどれくらい大きいかをめぐって争っていますが、どちらがいいかは争っていません。
研究結果を引用するときは、元の研究が何を測ったのかを見る必要があります。この記事は元の論文と後続研究をもとに書いており、正確な数値は各論文にあります。
Sumbiの潜水は、スマホを別の部屋に置いてから始めても大丈夫です。画面を消しておけば失敗せず、他のアプリを開いているあいだだけ息つぎが減ります。研究が慎重に言っていることを、そのまま移した方式です。スマホが見えない時間を、決めておくこと。
勉強の時間だけ潜水する →集中力という言葉は広い。元の研究は、特定の記憶課題と問題解決課題を測りました。それがすべての集中を代表するわけではありません。記事が集中力とひとくくりにしていたら、元の課題が何だったのか調べてみるのがいいです。
大学生数百人でした。会社員や子どもに同じ結果が出るかは、別に見なければいけません。子どもに関しては別の研究があり、この区画の他の記事で扱います。
統計的に意味があることと、大きいことは違います。記事で数字が大きく出ていたら、元の論文の効果量を確認するのがいいです。ほとんどは記事より小さい。
手放した日の一行。研究を読んでから、夜9時の引き出しを別の部屋の棚に変えました。研究に言われたからではなく、自分がそのスマホ依存度の高い側だと認めたからでした。
この記事は一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。睡眠や日常生活への支障が続く場合は、専門家にご相談ください。